例えば歯が痛くなったときに歯科を受診することは当然のことだ。なかにはかかりつけの歯科医を持っている人も少なくない。しかし、不思議なことに「医師に診察してもらう」という概念が、今までまったくといっていいほど認知されていなかった分野が薄毛、抜け毛の分野である。頭髪専門クリニックである城西クリニック・小林一広院長は「髪の治療は主治医が必要である」と話す。「髪の毛の悩みは皮膚科でも積極的に対応してくれる所はほとんどなく、カツラを被る、もしくは増毛・植毛などで解決することが一般的でした。またそこには抜け毛、薄毛の治療を本格的に開始するにあたって、同時にメンタルケアが必要と思われる患者さんがたくさん存在するという現実があったのです。
髪の悩みから不眠、抑うつ状態へ発展したり、逆に精神的に不安な状態が抜け毛、薄毛の原因となったり、自分自身だけでなく他人や異性に対しても自信が持てずに色々なことに対して積極的にも、意欲的にも取り組めずに、対人恐怖症にまで及ぶ症例もあります。そこまでとは言わなくても、ヘアスタイルが決まらないだけで、その日一日の気分が悪くなったりするものです。人によっては小さなストレスの蓄積が身体的な疾患にまで発展してしまうことも最近は多くなっています」と、精神医学を専門とする小林院長は頭髪の問題と精神的関係を重視している。現在の医療の現場では、身体的な治療の中に精神科医が介入してくることは稀有である。ましてや人に相談しにくい頭髪のことを身体的、精神的両面の分野から診てくれる医療機関など無いに等しい。
そのような状況を少しでも改善するため、発毛医療分野における最新医療の情報を収集、提供するために我が国の皮膚科をはじめ、形成外科、精神科、内科の医師、さらにアメリカや台湾などの医師も所属した、ワールドワイドなネットワークを持つNPO法人「F.M.L=Future Medical Laboratory(理事長:中溝慶生先生=九州大学医学部名誉教授、九州スカルプクリニック院長)」に同クリニックは所属した施設である。 城西クリニックでは、生活の様子、頭髪に対するこだわりなど、詳細なカウンセリングが行われる。さらに費用の問題や、自分の目標をどこに置くかなど、納得いくまで話し合い、初めて治療が行われるのだ。頭髪の問題は遺伝、生活習慣、体質などさまざまな要因が関係しており、それを見極めた上で、シャンプー、内服薬、外用薬、頭髪への栄養補給のためのサプリメントの提案、生活指導などを行いながら治療が進行していく。「満足できる状態にいつ到達するかは、やはり人によって違います」と、小林院長は控えめな言い方をする。不眠、ストレス、生活習慣などが直接的、間接的に頭髪に影響していることは間違いない。それらを多角的な見地から診断してくれる医療は、今まで皆無だったのである。「この治療方針は世界でも我々が最先端であるわけです。頭髪治療の歴史を患者さんと一緒に作っていくのだと、私は考えています」と小林院長。