健康な状態での髪の寿命は2年〜7年。1本ずつの髪の毛がそれぞれ成長期、退行期、休止期の段階を経て、周期的に抜け落ちていきます。「髪は、皮膚の内側にある真皮という部分から生え、成長期に根っこの部分がスパナのように膨らみ、真皮に根づいているのが分かります。この毛根の部分を『毛母』と呼びます。成長期の毛母細胞は、その中心に抱えこむようにしている『毛乳頭』から栄養を受け取り、細胞分裂を繰り返し髪の毛を伸ばし続けます。これが退行期に入ると毛乳頭が萎縮し、毛母細胞も分裂をやめ、髪も自然に抜け、新しい毛が下にスタンバイしているんですよ」新しい髪が古い髪を押し出すような形で「生え替わり」を繰り返す。これが髪のライフサイクルです。「髪は一度抜けたらもう生えてこない」という事はありません。
どうして「薄毛」という現象が起こるのでしょう。「毛母細胞が正常に機能していれば、抜けた髪の後には必ず元気な髪が生えてきます。このサイクルに何らかの異常が起こると、「新しい髪が」古い髪より細くなってしまうことがあります。これが『薄毛』の始まりです。薄毛というと、脱毛がおこって髪全体の本数が減るのだと思われがちですが、実際は本数自体変わらず、髪が細くなり、密度が減ったように見えるだけなんです。」人の頭髪は、一生を通してみても本数の違いにそれほど違いはなく。髪がまったくないように見える状態でも、実際にはうぶげ毛状の髪が生えているものなんだそうです。生えてくる髪が細くなるのには、大きく分けて2つのケースがあると小林先生。
「一つ目は、男性ホルモンの影響によるもので『男性型脱毛』と呼ばれます。多くの男性の悩み「抜け毛・薄毛」は、大抵このパターンです」男性型脱毛を引き起こすのは、男性ホルモンとして知られる『テストステロン』このホルモンから生じるDHT(ジヒドロテストステロン)という物質が毛母細胞に悪影響を与え、髪の発育を邪魔します。ダメージを受けた毛母細胞から生まれた髪は太くならず、その「成長期」も短くなるため短期間で抜けるように。こうして弱った毛母細胞が増えていった結果、髪全体が薄くなったように見えるわけです。「ただ、テストステロンというホルモン自体は男性であるために必要不可欠なもので、ホルモン自体が毛母細胞に悪さをする訳ではなく、テストステロンがDHTに変化する途中経過に『5-α-リダクターゼ』という酵素が関与していることがわかりました。こうしたメカニズムから、現在DHTを退治して毛母細胞の働きを正常に戻し、男性型脱毛を抑制する方法が模索されています。ただ、決定打となる治療法はまだ未開の為、小林先生のクリニックでは薬により『5-α-リテクゼクターゼ』の活性を弱めるという治療法を取りいれているそうです。
女性に多いのが頭皮の疾患による抜け毛や薄毛です。「原因になるものとして、例えば『フケ』があげられます。」フケというものはもともと頭皮の新陳代謝によっていらない角質がはがれおちたもので、サイクルが短くなったり、必要以上に角質がめくれてしまい、大量に出たフケが皮脂や油に交じり合うと頭皮の悪玉の細菌が繁殖しやすい状態に。かゆいからとかきむしれば頭皮の内側にまで悪影響が繁殖しやすい状態に。かゆいからかきむしれば頭皮に傷がつき、皮膚の内側にまで悪影響が及びます。この悪循環が、毛母細胞にダメージを与えることになるわけです。」実際に、髪に直接悪影響を及ぼす疾患もあります。これを『粃糠性脱毛』と呼び、頭皮が不自然にめくれあがって髪が生えてくるのを邪魔します。「『円形脱毛症』も女性に多い疾患です。髪の一部が丸くごっそり抜けてしまう疾患ですが、はっきりとした原因はまだ解明されていません。現在、ストレスなどによる事故免疫が原因になっているのではという見方が有力です」私達の体の中には体内に入ってきた異物をやっつけようとする機能が備わっています。この機能が異常を起こし、体が自分の髪を「異物」とみなして攻撃してしまうのが自己免疫疾患による脱毛です。そのため女性の円形脱毛症では、まず、ストレスの原因を取り除く事が大切だと小林先生。「また最近の傾向として、女性にも『男性型脱毛症』の症状が見られるようになりました。女性の体内にも男性ホルモンはあり、何かのきっかけでそれが増えるのが原因だと考えられています。男性のように頭頂部が集中的に薄くなるのではなく、頭全体がスカスカしてくるケースが多いですね。」抜け毛や薄毛の治療には、まず、原因を見極めることが大切。男性と女性とでは原因を正しく把握し、それに沿った改善索を取っていきたいものです。「一番大切なのはストレスをためないこと。髪の悩みがストレスになり、症状がさらに悪化することもありますからね」