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週刊現代 2003年7月26日

週刊現代

米国で大ヒット
飲むハゲ薬「プロペシア」あっ毛が生えてきた!

「ハゲというのは生命にかかわる病気ではないので保険診療はされないし、新薬の承認申請しても審査が後回しにされがちです。深刻な悩みと受け取られない一方で、脱毛に苦しんでいる人はたくさんいる。中には髪の毛が抜け落ちるのが死ぬほど辛いという人もいるんです。そういう人たちには、プロペシアは救世主になるかもしれません」

こう語るのは、総合頭髪治療センター「城西クリニック」の小林一広院長だ。プロペシアとは98年にアメリカで発売され、大ヒットしている「飲むハゲ薬」である。

これまで塗布するハゲ薬は数々あったが、飲み薬は初めてである。なにはともあれ、連続写真をご覧いただこう。写真は、城西クリニックを訪れる患者さんの了解のもとに、プロペシアとミノキシジルなどを使った発毛治療の経過を記録したものだ。
上から36歳(薄毛暦13年)、33歳(薄毛暦7年)、31歳(薄毛暦8年)の男性患者。一番上の男性は左から初診時→治療開始3ヶ月後→7ヶ月後→、中段の男性は初診時→5ヶ月→11ヶ月後、下段の男性は初診時→5ヶ月後→7ヶ月後である。薬の内服を中心とした治療開始とともに毛髪が増えていく様子がはっきりわかるだろう。

発毛の医学的根拠が証明された

小林院長が、その驚くべき効能を説明する。「人の毛髪は約10万本あり、一日80〜100本抜け、新しい毛髪が生えてきます。この繰り返しが2年から7年の周期で起こります。周期バランスが崩れて休止期間が長くなり、新しい毛も弱くなるのが男性型脱毛症です。うちのクリニックに来院される患者の9割以上が男性型脱毛症ですが、プロペシアはそのほどんどに有効という結果がでました。つまり、薄毛に悩む人たちのうち9割に何らかの効能が見られたのです。通常ですと服用から半年、1年で効果が現れていますね。本人の満足度は別にして、少なくとも第三者の目から見れば、十分に効果が確認できるものばかりです。



男性型脱毛症の対策としては、植毛、増毛、カツラなどがあり、近年それらの技術はいずれも飛躍的に進歩してきました。いままでの発毛医療では十分な医学的効果がなかったために、こうした技術が進んだのです。しかし、プロペシアは発毛にいたるメカニズムが医学的に証明されている唯一の発毛剤です。効果もいままでのどんな薬よりもあります」

ちなみに医薬品として認可された数少ない発毛剤であるロゲイン(日本名リアップ)を使用して効果があるのは、4割程度と言われている。いかにプロペシアの効能がすぐれているかがわかるだろう。

プロペシアの特徴は、発毛にいたるメカニズムが明確に証明されている唯一の発毛剤であることと、副作用がないこと。虎ノ門・日比谷クリニック院長の山中秀男氏が、こう説明する。
「プロペシアの科学的成分はフィナステリドと言い、本来は男性の前立腺肥大を阻止するために開発されました。その開発過程で、フィナステリドは男性型脱毛症にも効果があることがわかってきたのです」
性欲を増進させ、精子を生産する男性ホルモンのテストステロンは、年とともに減少していく。そこで生殖機能を維持するために、前立腺や頭部の毛乳頭に運ばれたテストステロンは、より生殖機能を活性化させるDHTという男性ホルモンに変化する。

「DHTには科学的に毛根を縮小させる働きがあるとされています。フェナステリドは、そのDHTを助ける5αリダクターゼという酵素の働きを阻害することで、ほとんど副作用なしに発毛の促進や、抜け毛の抑制をもたらすことが判明したんです。
プロペシアは性欲減退や勃起不全などの副作用がない。したがって、精力旺盛なためにハゲかかっているという人にとっては精力を損ねず、脱毛対策ができるようになったという点で、朗報と言えるでしょう。」(前出・山中氏)

プロペシアのもうひとつの特徴は、極めて実用性に富んでいること。服用は一日一錠。食事に関係なく、いつ服用してもいい。飲んで効くばかりか、リアップなどの他の外用薬との併用も可能だ。小林院長がこう語る。「治療中は育毛効果があるとされるミノキシジルの外用薬や高血圧対策に使用するミノキシジル経口薬、ビタミン類などのサプリメントを独自の方法で併用しました。もちろんプロペシアがもっとも大きな発毛要因であることは間違いありませんが」


毎日タバコ一箱分の出費

唯一の欠点は、厚生労働者省に認可されていない点。

「うちのクリニックでは先程述べたように、他のサプリメントなどとの併用で治療しています。残念なことに、現在は保険が利かない自由診療なので初診料1万5000円、他には薬代込みで月1回3万円の診察料が掛かります。治療期間は最大1年と考えてください。この値段が高いか安いかは意見が分かれるところかも知れません。ただし、成果が出ることは確実です」(小林院長)

日本では、すでに万有製薬が販売権を獲得している。同社マーケティング部門・特定疾患グループ部長・中村正之氏が語る。「目下、申請中につき日本でのデータは公表できませんが、治験の結果が大変良好だったことは間違いありません。ちなみに米国のデータでは、無作為の被験者1800人のうち900人にプロペシア、900人に偽薬を与え、2年間調査した結果が出ています。それによると、プロペシアを服用した人たちの66%に発毛が見られました。そのほかにも薄毛の進行が止まったなど、全体の83%に何らかの効果が確認されています。一方、偽薬を服用した人たちの72%が2年間のうちにハゲてきたことが確認されます」

ただし、いったん生えてきたからといって服用をやめると、やがて毛は抜けてきてしまうという。ふさふさした頭髪を永遠に保ちたいなら、薬は飲み続けなければならない。また、男性ホルモンに関する作用を引き起こす薬のため、女性は服用してはいけないとアメリカ食品医薬品局(FDA)は警告している。

万有製薬でも、すでに治験を終えており、3月には承認申請もすませた。

「おそらく来年中には承認されると信じています。日本での名称はまだ未定ですが、発売されれば、かなり有望な商品になると思っています。」(前出・中村氏)

値段は現在、米国で発売されている米国メルク社製の錠剤が1個約160円。市場には200円程度で出回っている。日本での正規販売も200円前後となりそうだという。ハゲを治したいなら、毎日タバコを一箱くらいは我慢しなければならないというわけである。

全国の薄毛、抜け毛で悩む人たちに、光明が差し込む日は刻々と近づいている。

週刊現代
【発行日】2003年7月26日
【発行所】講談社

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