特集 髪の毛が心配なあなたに
「最近、髪の毛がさびしくなってきた」「白髪が目立つようになってきた」こうした髪の変化を気にする人が少なくありません。今回は、そんな方々のために特集を組みました。私たちの髪の毛は老化、ホルモン、血行、ストレス、食生活のほかさまざまな影響を受けて抜けたり、うすくなったり、白くなったりします。しかし、このような状態は医療の力を借りたりあるいは自分で適切な努力をすればかなり改善できるものです。その具体的な方法をご紹介していきましょう。
【髪の老化を遅らせるには】
医療法人社団 城西クリニック院長 小林一広
髪の若さを保つには髪にやさしい食事、生活習慣を
加齢による髪の変化を完全に防ぐことはできませんが、進行を遅らせることはできます。そのポイントは、大きく三つ。「食事」「生活習慣」「頭皮の環境」です。毛母やも毛乳頭の活性を高めるためには、栄養状態をよくしておく必要があります。髪の材料であるタンパク質はもちろん、ビタミン、ミネラルなど栄養バランスのよい食事をとるようにしましょう。「わかめや昆布が髪にいいようだ」と、そればかり多く食べて栄養がかたよると、かえって健康に影響し、ひいては髪のためにもなりません。
血行をよくし、髪に栄養が供給されやすくすることも大切です。ストレスがあると自律神経の交感神経が活発になって、毛細血管を収縮されてしまいます。その結果、血行が悪くなり、頭皮に栄養が十分にとどかなくなってしまいます。ストレスをためないよう、自分なりの解消法をみつけたいものです。
タバコに含まれるニコチンには、毛細血管を収縮させる作用があるので、悪化して栄養がスムーズに運ばれなくなってしまいます。からだの健康だけでなく、発毛のためにも、タバコは百害あって一利なしです。運動は、血行促進に役立つだけでなく、ストレス解消にも有効です。ウォーキングやジョギング、水泳などの有酸素運動は心肺機能を高めて、血行をよくする効果が高いのでとくにおすすめです。日課に運動を取り入れた生活をこことがけましょう。夜ふかしはお肌の大敵といわれますが、髪の皮膚の一部です。髪の成長は深夜から明け方にかけてもっとも活発になります。規則正しい生活で、十分な睡眠をとることが大切です。もう一つは、頭皮の環境を整えることです。頭皮にはつねに皮脂が分泌されています。これは頭皮を守るためのものですが、分泌が過剰になると毛穴をふさいでしまうので、発毛や薄毛にはマイナスになります。頭皮はいつも清潔に保ちましょう。
【髪の健康を保つコツ「ヘアケア」のコツ】
脇坂ナカツクリニック 副院長 福田康孝
シャンプーは二度洗いでリンスはすすぎをしっかりと
頭髪の状態には、生活習慣やストレスなど、日常生活のなかでの要因がかかわっています。そういわれると、生活習慣までいかなくても、毎日のシャンプーやパーマなど、今のやり方でよいのかどうか、不安になる人もいるでしょう。ここではどのような手入れの仕方が健康を保つのか、詳しくご説明します。
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正しいシャンプーの仕方
まず、シャンプー前に毛の流れに沿って無理なくブラッシングをして、髪や頭皮の汚れを機械的に落としておくとよいでしょう。ブラッシングは血行をよくする効果もあります。洗髪の際は髪を十分ぬらし、シャンプーを髪全体にのばし泡立て、頭皮を指の腹でやさしくマッサージするように洗います。シャンプーが残っていると皮膚へ負担がかかるので十すすぎます。皮脂の多い人はまず髪の毛だけを洗って、一度すすぎ、その後で少量のシャンプーで地肌を洗う二度洗いが効果的です。
洗髪の回数は一日一回が基本ですが、小児や高齢者のように比較的頭皮の脂が少ない場合は毎日洗うと頭皮が乾燥しすぎることもあります。成人でも必要以上に洗うと頭皮がかさつく原因になり、脱毛を助長し外的刺激に過敏になり頭皮をいためるため要注意です。 |
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リンス効果
髪の毛小皮(キューティクル)は頭皮から分泌される皮脂でおおわれ保護されています。洗髪で流れてしまった皮脂の代わりにキューティクルを守るのがリンスの役目です。また、シャンプーによってマイナスイオンに帯電した髪を中和させる役目もあります。リンスはシャンプーが残らないように十分すすいだあと、適量を髪全体になじませ洗い流します。リンスもすすぎ足りないと皮膚炎の原因にもなります。皮膚への刺激はシャンプーより強いのでしっかり落としてください。十分すすいでもリンス効果は変わりません。シャンプーを髪質、頭皮の状態で選ぶのと同様、リンスも自分の髪質に合ったものを選びましょう。 |
【発毛・植毛治療の最前線】
脇坂ナカツクリニック院長 脇坂長興
頭髪治療の柱は発毛治療と医療植毛
アメリカでは髪に悩みのある人は、気楽に病院に通って、医学的な見地から的確に診断・治療してもらうケースが増えています。歯科や内科と同じように、「髪の主治医をもつ」という感覚なのです。これに対して、日本では医療制度の違いなどもあって、薄毛を病院で治してもらう、つまり専門医に診てもらうというような発想は定着してきませんでした。そのことが、頭髪の悩みをより深刻化してきたといっても過言でもないでしょう。しかし、日本でもここ数年の間に少しずつではありますが、「頭髪専門クリニック」が開設され始め、安心して受診できる体制が整いつつあります。実際にそういう病院で専門医に診断・治療してもらうことより、髪の悩みから解放された人たちも増えてきています。私はそのような頭髪専門クリニックの一つとして、二年前に当院を開設しました。当院の頭髪治療は、発毛治療と医療植毛の二つに大きく分けられます。発毛治療は、いわゆる「保存的療法」といって、皮膚にメスを入れない治療です。体内のホルモンやサインカイン(生理活性物質)に作用する薬剤を経口投与したり、外用薬を塗布したりして治療するものです。一方、医療植毛では、自分の髪の毛を生えている部分から生えていない部分へ移植するものです。この二つの選択は、患者さん個人の希望や年齢、脱毛暦などによって判断します。
【よく効くようになってきた発毛・育毛剤】
徳島大学名誉教授 NPO法人 F.M.L.理事長 武田克之
自分にあった発毛剤・育毛剤を選ぶことが大切
毛髪は皮膚の一族ですが、その成長には一定のサイクルがあります。これをヘアサイクルといい、成長期〜退行期(移行期)〜休止期を経て抜け落ち(自然脱毛)、続いて再生することをくり返していきます。その期間は健康であれば五〜七年といわれていますが、このサイクルを十分一まわりせずに途中で抜けてしまう場合、その毛は細く短くなっていることが分かります。これが男性型脱毛(若はげ)といわれるもので、思春期以降の男性の頭頂部の生えぎわから徐々に始まります。突然一〇円玉前後に大きさにはげる円形脱毛症とは異なるのです。また六十歳以降に発生するはげは加齢にともなう生理的な老化による老年性脱毛といわれ、区別されます。近年、頭髪不安症候群といってもよいくらい、とくに若い世代に抜け毛や薄毛に悩む人が急増しています。本来、女性ホルモンによって守られているはずの女性までが薄毛、細毛、脱毛の悩みにみまわれるといった状況で、薄毛・脱毛へ関心は高まる一方です。
これは男女ともに複雑なストレス社会のなかに生きており、生活習慣が乱れ、食事抜きや過度なダイエット、外食、既製食などに頼り「食のアンバランス」が広がっていることも一因と見られます。したがって、生活習慣や食事の改善をはじめ、脱毛、薄毛のおこる原因、いわゆる自らの「はげのメカニズム」に適応した発毛・育毛剤の選択などに正しい知識を持っておく必要があります。しかし最近では多種多様な発毛・育毛剤が薬局で販売されています。「自分がどれを使ったらよいか?」と迷うことも多いでしょう。種類も多く養毛剤・育毛剤・発毛促進剤などと分けて呼ばれていますが、どこがどう違うかということも、じつは医薬用語を規制する薬事法では明確な定義を設けていません。一般的には「養毛」は毛髪を保護し脱毛を防ぐ、「育毛」は毛髪の成長を促す、「発毛促進」は発毛のしくみそのものにはたらきかけるというものです。即効性があり、「あなたのはげにぴったり」と判定できる商品は今のところありません。要はその主成分のはたらきをよく理解し、手遅れにならないように早めに手当てすることが貴重です。その根気強く、正しい使い方で継続使用することが発毛・育毛の剤の効果を得るためには欠かせません。
【円形脱毛症の最新治療】
医療法人社団 城西クリニック皮膚科部長 田口りか
円形脱毛症は自己免疫疾患の一つ
演繹脱毛症というのは、頭部に円形の脱毛がおこる病気です。大きさは、1cm程度のほとんど目立たないものから、数センチにおよぶものまでさまざまで、複数の箇所にできることもめずらしくありません。また、前頭部や眉毛、まつげ、また、腋毛などの全身が抜けてしまうこともあります。子どものから大人まで、どの年齢層にも見られる病気ですが、二十歳代がもっとも多く、男女比は一対・五でやや女性が多い傾向があります。円形脱毛症は、次のタイプに大別されます。
(1)通常型
単発型…丸い脱毛が1〜2箇所にできる。
多発型…丸い脱毛が複数の箇所にでき、つながっているものもある。
(2)不正局面型…頭髪の生えぎわが帯状に脱毛していくもので、難治例が多い。
(3)全頭型…頭髪のほとんどが抜ける。
(4)汎発型…頭皮とともに全身の毛が抜ける。
こうした円形脱毛症は自己免疫疾患の一つと考えられています。人間のからだには、外敵から身を守るための免疫機構が備わっており、おもに白血球の仲間のリンパ球が担当しています。円形脱毛症の場合、このリンパ球が、なんらかの原因で自分自身の毛元(毛の根元)を異物と間違えて攻撃してしまうために、発毛のメカニズムが壊されてしまうのです。実際に脱毛部分の皮膚を観察すると、毛根にリンパ球が集まっており、毛根の萎縮が見られます。甲状腺機能障害、膠原病などの自己免疫疾患を合併している人の場合、もとの病気を治療することによって、円形脱毛症の改善が見られることもあります。また、精神的ストレスとのかかわりも指摘されています。患者さんのなかにはストレスと関係なく発症する人もいますが、発症の数ヶ月前から、人間関係や家族問題、生活環境の変化など、なんらかの精神的なストレスがあったという人も少なくありません。また、性格的にも、几帳面でまじめな人に多く見られることから、ストレスが誘因の一つであることは間違いなさそうです。