川島眞総院長 インタビュー

川島眞先生のメイン写真川島眞先生のメイン写真

Dクリニックの総院長である川島先生にインタビュー。薄毛でお悩みの方、医療機関での治療を検討されている方へ向けて、クリニックでの取り組みやメッセージを伺いました。

川島眞先生が皮膚科医としてこれまで取り組んできた研究や、実績について教えてください

皮膚科医になって、皮膚科の研修に力を注いでいたころ、自分の皮膚科医人生の手本となる先輩医師に出会いました。その先生は患者様を前にした時の目の輝きが全然違うのです。懸命に皮膚の症状を診て、実際に触って、その感触を丁寧に確認する。患者様を目の前にすると懸命そのものなんです。休みの日はスポーツなどで遊びも大いに楽しんでいる先生だったのですが。その先輩医師の姿を見て、それくらいの思いで診察しないと良い皮膚科医にはなれないなと感じました。

インタビューを受ける川島眞先生の写真1 インタビューを受ける川島眞先生の写真1

皮膚科医というのは、ある意味五感を使う仕事なんです。もちろん肉眼で見て判断しますが、弾力感があるかどうか、押してどのくらい痛みがあるか、炎症の度合いがどのくらい進んでいるかなど、指先で分かるのです。臨床医として一人前になるためには、一人でも多くの患者様を診なければならないと思いました。この時の思いはその後もずっと、教授になってからも持続しました。

皮膚を確かめている女性の写真

研究については、大きなトピックスが2つあります。

ひとつめは、専門としていた皮膚ウイルス感染症について研究を深めるために、パリ市パスツール研究所に留学していた時のことです。当時、「ヒト乳頭腫ウイルスとがん」について研究していた世界トップレベルのラボに参加することができました。そこで、約2年間研究に没頭し、皮膚がんに関係する新しい『ヒト乳頭腫ウイルス(HPV)34型・36型』を世界で初めて見つけることに成功したのです。

もうひとつは、東京女子医科大学病院に移って、アトピー性皮膚炎を専門に研究してい た頃のことです。当時、アトピー性皮膚炎はアレルギーの典型的な疾患だと言われていましたが、1991年大手企業との共同研究で、新たなアトピー性皮膚炎の原因を発見したのです。アトピー性皮膚炎の患者さんは共通して「肌のバリア機能(※)」が低下しており、それは角質層を埋めている脂質であるセラミドの減少によるものであることを解明しました。

  • ※肌のうるおいを蓄え、乾燥と外部刺激から肌を守る役割のこと
インタビューを受ける川島眞先生の写真2 インタビューを受ける川島眞先生の写真2

当時は、我々の発見を追加実験で確認できるラボが少なかったので、大きな注目は集めませんでしたが、我々の提言から20年経ってようやく、アトピー性皮膚炎は「皮膚のバリア機能に問題がある」ということが広く認知されています。

その後の教授生活最後の10年間は、さまざまな薬剤による治療法のガイドライン作りに力を入れました。例えば、抗ヒスタミン薬、抗ヘルペスウィルス薬、ニキビ等の薬剤に関わるエビデンス(証拠・根拠)に基づいた適切な使用法などです。2018年には日本で新薬として製造承認された注射でアトピー性皮膚炎を治すデュピルマブについて、日本における開発試験の責任者を務めました。

先生は患者様お一人おひとりの診察・対話も大切にされていますね

皮膚のバリア機能の問題やアレルギー反応以外に、「心」のトラブルが症状を引き起こしている場合があります。

気付いたきっかけは、患者様とお話をしていた時のことでした。診察を終えて「ところで最近なにか辛いことありますか?なにか変わったことは?」と尋ねると、その方のご家庭での悩みが次々と浮き上がってきました。その悩みを他の人にはなかなか言えなくて、ずっと抱えていらっしゃったのですね。他の患者様にもお話を聞いていると「実はいま、弟が病気になっていて…」や「仕事を自分だけがどんどん課せられる。自分では抱えきれないのを分かっているのだけど、断れなくて」など、様々なストレスを抱えておられました。そしてそのストレスを理解してあげた上で治療すると、皮膚の症状がそれまでとは異なり、みるみる改善していくのです。心のストレスが皮膚の症状に影響を与えるケースがあるのだと分かった経験です。

皮膚病の患者様の中には、薬による治療だけでは治らないケースがあります。ですから、心の状態を分析して癒やすことも治療に取り入れています。これを私は「皮膚科心療」とネーミングして、数年前から実践し今も大切にしています。

先生がDクリニックに参加された経緯をお聞きしてもよろしいでしょうか

診察中の写真

メンバーとして入る最初のきっかけは、皮膚科医になった頃からお世話になっている先生方からの紹介でした。ただ、心を決めたのは薄毛治療に関する診療姿勢に共感したからです。Dクリニックでは、治療を行う前のプロセスに患者様との対話も大切にしている点が特徴的で、そこは自分の心療にも通ずるものがありました。以前から育毛・発毛の専門クリニックが存在することは知っていましたが、Dクリニックの患者様への心も含めた治療という方針がマッチしました。

また、Dクリニックは世の中の患者様に優れた治療を提供できるよう「Future Medical Laboratory(近未来医療研究会)※通称F.M.L.」という研究機関を立ち上げています。皮膚科、形成外科、泌尿器科、精神科などの異分野の医師たちが集まって定期的に勉強会やディスカッションを行っているのです。グループ全体としても色々な学会で発表・講演を行っていますので、ヘアに関する医療に関しては世界にも類を見ない最も優れた研究チーム、臨床研究グループだと認識しています。

川島先生が実現していきたいと思っていらっしゃるのはどんな事でしょうか

最終的に大きなテーマとして考えているのは、髪の毛も含めた「男の美」いわゆる男性の健康美容です。この分野の研究や認知は日本ですこし遅れているのかなと感じています。美容というと、まだ女性の分野と限定的に捉えられがちですね。でも見た目・肌の美しさは男性にとっても日々の活力や仕事力を引き出すひとつの大切な要素と考えています。男性の美容に対してますます世の中のニーズは高まっていると思いますし、それに対応する仕組み・体制をぜひここで作り上げたい、完成させたいと思っています。

薄毛で悩まれている方や来院を希望されている方に、メッセージをお願いします

インタビューを受ける川島眞先生の写真3

薄毛治療の研究は日々進んでいまして、AGAのメカニズム自体は多くのことが分かってきています。十数年前、薄毛の原因に対処する方法のひとつとして「フェナステリド」という画期的な内服薬が登場しました。一方で、副作用や男性機能への影響について間違った見解や恐怖感が情報として伝達してしまったことも事実です。ですから尚更、わたしたちDクリニックは適切な治療を行うための研究成果をしっかり積み重ねて、いままで以上に安心感のある医療を患者様一人ひとりに提供していきたいと思っています。

不安に思ったら1人で悩まずに、まずクリニックにお越しいただきたいと思います。

薄毛治療に関していうと、他の人の目を気にして深刻に悩みすぎているケースが意外に多いのです。自分の中で深刻化してしまわず、専門の医師に何でも相談してみてほしいと思います。その方の心理、心の中も理解してケアできる、患者様との信頼関係を築きながら治療を行うことができる、そういうトレーニングを積んだ医師たちが待っています。

(2018年7月)

◆総院長 川島 眞 インタビュー 前半

◆総院長 川島 眞 インタビュー 後半

川島眞先生のプロフィール写真 川島眞先生のプロフィール写真

川島 眞(かわしま・まこと)

  • 医療法人社団ウェルエイジング総院長
  • 医療法人翠奏会 総院長
  • 医療法人リアルエイジ静哉会 総院長

【略歴】
東京大学医学部卒業。パリ市パスツール研究所に留学。東京大学医学部皮膚科講師などを経て東京女子医科大学 皮膚科学教室 教授・講座主任。
アトピー性皮膚炎をはじめ、美容、皮膚ウイルス感染症、接触皮膚炎などを主に研究。2018年4月より医療法人社団ウェルエイジング、医療法人翠奏会、医療法人リアルエイジ静哉会の総院長に就任。

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